公開日:2021.10.01 最終更新日:2023.01.19
建設業を営んでいる場合に、一式工事(土木一式・建築一式)の中で専門工事を施工する事や、許可を有する工事に附帯する工事の施工も可能ですが、その場合にも技術者の配置等について定めがあります(500万円未満の軽微な工事は除く)
具体的には、下記の①~③いずれかの対応を取らなくてはならないと定められています。
①主任技術者⼜は監理技術者が、その専⾨⼯事⼜は附帯⼯事について主任技術者の資格を有する場合、その者が専⾨技術者を兼任する |
②主任技術者⼜は監理技術者とは別に、同じ会社の中で、他にその専⾨⼯事⼜は附帯⼯事について主任技術者の資格を有している者を専⾨技術者として設置する |
③自社に該当する専門技術者が不在で、技術者を配置できない場合はその専⾨⼯事⼜は附帯⼯事について建設業の許可を受けている専⾨⼯事業者と下請負契約し、その建設業許可業者に施工させる |
(1)土木一式工事や建築一式工事に含まれる専門工事の専門技術者
建設業許可の有無を問わず、⼟⽊⼀式工事又は建築⼀式⼯事の施工に際し、併せて専⾨⼯事も施⼯する場合は、それぞれの専⾨⼯事について主任技術者となりうる資格を有する者(=専⾨技術者)を⼯事現場に置かなくてはいけません。
該当する専門技術者を配置できない場合は、その専門工事について建設業許可を有する建設業許可業者に施工させなくてはいけません。(建設業法第26条の2第1項)。
💡一式工事・専門工事とは?
建設業法上「建設工事」は29業種あり、これを大きく二つに分けると「一式工事」と「専門工事」に分かれます。具体的には、
・総合的な企画、指導、調整のもとに行う「一式工事」(建築一式工事・土木一式工事)
・上記2つの一式工事以外の「専門工事」(大工工事・左官工事・水道工事など27業種)
です。
※建設業許可29業種の詳しい解説はこちらから
「建設業29業種の解説シリーズ① ~工事種別全般~」
(2)附帯工事の専門技術者
建設業許可を受けた業種以外の建設工事を請負うことができる場合があります。それは、許可を受けた工事に附帯する他の建設⼯事(=附帯⼯事※)を施工する場合です。ただし、その場合もその附帯⼯事について主任技術者となりうる資格を有する者(=専⾨技術者)を⼯事現場に置かなければなりません。
該当する専門技術者を配置できない場合は、その附帯工事について建設業許可を有する建設業許可業者に施工させなくてはいけません(建設業法第26条の2第2項)
💡附帯工事とは?
建設業許可を受けた建設工事に附帯する工事のことを言います(建設業法第4条)。許可を受けた工事を施工するにあたり、必要な工事のことです。
例)「管工事」の許可がある場合
トイレ改修工事を請負い、トイレ設備の入替(=管工事)をする際に、床をはがして張り替える必要があるとします。その場合、トイレの床の張替えは「内装仕上工事」ですが、主たる工事(=管工事)の付帯工事として許可がなくても施工できます。
上記(1)と(2)を踏まえ、下記に例をあげてみます。
例)A社は新築住宅の建築一式工事を請負いました。
住宅新築工事のため「内装仕上、左官工事、電気工事、管工事」等も含まれます。
A社にはB(一級建築施工管理技士)とC(二級建築施工管理技士(仕上げ))の技術者が在籍しています。
A社は発注を受けた建築一式工事の主任技術者として、Bを配置しました。この例において、
内装仕上工事や左官工事の専門工事を自社で施工する場合、
①Bは資格があるのでBに専門技術者を兼任させることができます。
②Bとは別に社内の別の技術者Cを専門技術者として配置することもできます。
電気、管工事について
③A社にはB・C以外に技術者がおらず、電気工事・管工事については専門技術者を
配置できないので、電気工事の許可があるD社、管工事の許可があるE社にそれ
ぞれ下請けに出し、施工を依頼することで対応します。
【同シリーズの関連記事はこちら】
『主任技術者とは?』 ~主任技術者・監理技術者解説シリーズ①~
『監理技術者とは?』-主任技術者・監理技術者解説シリーズ②
『現場への専任が必要な工事とは』~主任技術者・監理技術者解説シリーズ③~
『主任技術者・監理技術者の【現場への専任】とは』~主任技術者・監理技術者解説シリーズ④~
『【現場への専任】が必要な工事の【専任が必要な期間】とは』~主任技術者・監理技術者解説シリーズ⑤~
『特例監理技術者、監理技術者補佐とは』~主任技術者・監理技術者解説シリーズ⑥~
『【主任技術者の現場への配置の緩和】特定専門工事とは?』~主任技術者・監理技術者の解説シリーズ⑦~